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【元映画フリークが選ぶ】思考の深淵への誘い・考えさせられる映画20選!

ワクワクするアクション英語も、お気楽なコメディ英語もよいですが

たまには・・・深~く・・・深~く

考えさせられるような映画は観たくないですか・・・?

最近はめっきり映画を見なくなった僕ですが、実は数年前は年に300本以上も映画を見るような映画フリークでした。

そのときの記録を掘り起こしてみたらなかなか面白いリストが出てきたので

記憶と向き合いながら、考えさせられる映画を20本、紹介します!

ちなみに順番は順位ではありません。適当です。

Contents

思考の深淵への誘い・考えさせられる映画20選!

理解不能なほど複雑なストーリーや構成の映画や、考えれば考えるほど監督のメッセージが響
いてくる映画、その根拠が見つかる映画、人生に関わる思考・思想に突っ込んでくる映画など

その映画のことを考えているほど、新たな想起や思想、映画への深い理解などの思考の深みにはまってしまうような映画達をここに一挙紹介。

忙しい時にはお勧めしない。映画を観た後に1~2時間が何より楽しいから。

①ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日(アン・リー)

船が沈没したせいで、救命用の避難ボートでトラと漂流する少年の話。

この映画、すべてに意味があります。最後までわかりやすいタネ明かしはありませんが、何かモヤモヤするエンディング。考えてください。この映画、真実であるのは映像が美しすぎやしませんか??少年は本当にトラと漂流していたのでしょうか??もしすべてが何かの比喩だとしたら…??

インドの世界観・宗教観と人間の精神的な防衛本能が混沌と交じり合い、多面的な解釈を可能にする意欲作です。

②素晴らしき哉、人生!(フランク・キャプラ)

ひとりの人間がこの世からいなくなります。行方不明ではありません。「存在しなかった」ことになるのです。自分が存在しなかった世界線を見せられた男は自分という人間の価値に気が付きます。自分は存在にして良い人間だったのだと。

心温まる古典的な名作人間ドラマ。

③トゥルーマン・ショー(ピーター・ウィアー)

毎日同じ生活を繰り返す主人公。彼の周囲の人が彼に隠していることとはいったい何なのか。これはネタバレによって台無しになる映画なのであまり多くは語れませんが、役者たちがこなすメタ的な演技は圧巻です。主人公のトゥルーマンが何かに気が付き「誰に喋っているんだ?何を喋っているんだ?」というシーンは鳥肌物。

僕たちのコミュニケーションもこの映画の中の人々と同じように、利害関係に塗れた虚言に溢れてはいないと断言できるでしょうか…?

「おはよう!会えないときのために、こんにちは!こんばんは!おやすみなさい!」という名言も生まれました。

④インサイド・ヘッド(ピート・ドクター)

僕が上映開始から終わりまで泣きとおした映画。人生で一番泣いた映画です。

メインキャラクターたちはこのお話の主人公の女の子の「感情たち」。ヨロコビ・カナシミなどの感情が彼女をなんとか応援するべく脳内の操縦かんをかわるがわる握ります。

家族の島や友達の島などで僕たち人間がもつ多面的な精神のそれぞれをうまく表し、短期記憶・長期記憶・忘れられた記憶がアニメという形で具現化され、人格形成に関わっていく様を示したのは圧巻。息をのむような精神分析とデザイン能力です。

自分の感情が何をいいたいのか、僕たちも心が動いたときには考えるべきかもしれません。悲しみも怒りも妬みもイライラも、僕たちを守るための心の働きなのです。全面的に否定してはいけません。

⑤A.I.(スティーブン・スピルバーグ)

2001年のスピルバーグ監督の映画。この時代にすでにロボット人権についてかなり深い問いかけをする映画があったことに驚きです。

もともとはキューブリック監督が原案を出していた映画ということで、初めて人工知能の可能性と恐ろしさを描いた名作「2001年宇宙の旅」と同じ系譜に載っている作品と考えてよいでしょう。

かつて奴隷制度の上に繁栄してはじまった西洋文明。奴隷廃止後もアフリカ人や今のアメリカ大陸を新大陸として発見した後の原住民を奴隷化して死ぬまで酷使して使い捨てました。

ロボットや人工知能も、最初は僕たちも人権などないと扱うでしょうが、時がたてばそれが残酷極まりない常識であり、もちろんロボットにも人権を認めるべきで、共存するべきだといっている社会が来てもなんら不思議ではありません。

⑥ファイトクラブ(デヴィッド・フィンチャー)

言わずと知れたデヴィット・フィンチャー監督の名作。これはメッセージ性というよりもストーリーの中で「ん?じゃあどういうことだったんだ?」と考えさせられるタイプ。

最後の最後のでとんでもないどんでん返しが待っていますが、それを差し引いてもタイラー・ダーデンのカリスマ性は青天井。

ブラッド・ピットが最もかっこよかった時期ですね。もうひとりの主演のエドワード・ノートンの圧倒的な演技力にも注目です。

⑦ナイトクローラー(ダン・ギルロイ)

フリーランスのカメラマン/ジャーナリストが主人公の映画。なかなかメディアに自分のとった素材が買ってもらえない主人公ですが、ある出来事以降、過激なものを作り出せばメディアはそれを買うとうことに気が付いて・・・?エスカレートして化け物になってい主人公の静かな狂気が恐ろしい映画。

ジャーナリズムやメディアというものに関して深く深く考えさせられる映画です。

よくメディアは汚いという意見は聞きますが、本当に汚いのはそれを喜んでみる僕たちの心です。僕たちが喜んで観るからメディアが汚い手段で撮られた汚いものを買うのです。つまりこの映画の主人公という化け物は、僕たち視聴者の心の中から生まれて羽ばたき出たものに過ぎないのです。

⑧ミスター・ノーバディ(ジャコ・ヴァン・ドルマル)

量子力学や宇宙の収縮による時間の可逆化など、理系なトピックに絡めながら「人生の選択」について問う哲学的な作品。

シュレディンガーの猫・多世界解釈・エントロピーの増大・バタフライエフェクトなど、この辺に興味がある人は楽しめると思います。

主人公が何度も何度も繰り返し経験するさまざまな人生。何が分岐点で何が正解なんでしょう。

⑨ドニー・ダーコ(リチャード・ケリー)

一度の鑑賞では理解できない脚本のリバース・ムービーとして話題になったそうです。

主人公のもとに現れた銀色ウサギ、フランク。彼が主人公に告げた世界の終わりまでの時間。生死やタイムトラベルが綿密に織りなされた秀逸な筋書きを理解するのに、観る者は皆必死です。

⑩羅生門(黒澤明)

邦画で唯一のランクイン!黒澤監督の超名作です。

文豪芥川龍之介の『羅生門』をロケーションに、同じく芥川龍之介の『藪の中』のプロットを入れ込んで展開させるという天才的な映画です。

「真実は藪の中」という日本語にも残る名作文学の映画化ですが、果たして真実は…?そして同時に映し出される人間の性の真実は…?黒澤監督が『羅生門』と組み合わせることで伝えようとしたメッセ―ジとは…?

⑪マルホランド・ドライブ(デヴィッド・リンチ)

映画では、スクリーンに映っているもの、スピーカーから聞こえてくるもの、全てに意味がある。 本当に、意味がある。
すべてに。

初見のときは正直僕はわけがわからなすぎて解説を読みました。 そしてそれが僕のなかにあった映像作品がもつ可能性の限界ラインってものをぶっ壊したのです。

映画をみる素養の低さを痛感させられた映画。 わけがわからないようで観る人が観れば一定の答えとなる解釈が用意されている。それを示す根拠、手がかりが映画中そこかしこに散りばめられている。あっぱれすぎます。

解説を読めばこんなにわかりやすくヒントがたくさんあるのに…気づけない、全く気にもとめてなかった自分がなさけない…畜生!!  みなさんにもこんな感覚を是非味わってほしいです。

⑫ボーリング・フォー・コロンバイン(マイケル・ムーア)

実際にアメリカで起きたコロンバイン高校での銃撃事件の取材をもとに作られたドキュメンタリー。マイケル・ムーア監督です。

銃社会の孕む危険性とその原因、暴力の上に成り立つアメリカ史、報道のあり方、演出される恐怖、本当の恐怖、大手企業のあり方、マリリンマンソン。。

そんな様々なことまで手を伸ばしてゆき、それらが抱える様々な問題を紐解いてゆきます。

⑬シティ・オブ・ゴッド(フェルナンド・メイレレス)

世界で最も格差大きい都市のひとつであるリオデジャネイロのスラム街を舞台にした映画。子どもが銃をとる凄惨な社会。

この映画の革命的なところは、演者のほとんどを素人で固めたところ。それも映画の舞台となったようなスラム街で実際に生きている子どもたちで。

演技指導はされたとはいえ、現実を背負った人々の演技にはフィクションからではありえない現実味があります。日本のような安住の地にいては感じることのできない社会問題を世界に発信した名作。

⑭es[エス](オリヴァー・ヒルシュビーゲル)

ドイツで実際に行われた実験を基に作成されたスリラー映画。被験者たちは囚人と看守に振り分けられて、その役割に合った行動をするように言われます。

すると徐々に被験者たちに変化が現れ・・・。仮の権力でさえ、仮の烙印でさえ、ここまで人間を暴走させ得る。人間は自分で自分をつくるのではなく、環境によってつくられるのだということをありありと見せつける映画です。

そして何より恐ろしいのは、これが実話に基づくお話だということ。

⑮ドッグヴィル(ラース・フォン・トリアー)

デンマークの奇才、ラース・フォン・トリアー監督。文字通り犬の街・ドッグヴィルが舞台。もちろんここでいう犬は比喩で、人間たちのお話です。

映画内では「街」がある。が、観ている我々には壁も道も見えない。しかし役者はそれらが”あるかのように”振る舞う。実際には、倉庫にただの最低限のセットがあるだけ。お笑いコントのセットと変わりません。

おそらくこれは私たちの心理の暗喩。いや、それで間違いない。ラース・フォン・トリアーは人間の汚さや精神の外側に造られた「壁」を強く意識して生きている違いありません。その「壁」を取り払ってしまえば、お前らの魂はこんなにもどうしようもなくひどい代物なんだと訴えている。

人間を許す信念を持っていた人のその信念さえも軽々突き崩す人間の汚さ。そしてその信念が一番嫌ったものに陥るまでに叩きのめす。人間の汚さ。人間の魂なんて、犬と同じ、それ以下か?

⑯恋はデジャ・ヴ(ハロルド・ライミス)

グランドホッグデイという日に、主人公だけ無限ループに陥ってしまうお話。

始めた状況を飲み込めずパニックになる主人公ですが、徐々に何をやってもリセットされてその日の朝に戻るということを利用して、大胆な行動をし始めます。

しかし次第に同じ1日を何度も繰り返すうち、自暴自棄になったり、1日1日を真剣に生きることについて考えたり、さまざまな形でグランドホッグデイト向き合うようになります。

やがて彼はこの日から抜け出すことになるますが、その時に彼が気がついた人生の意味とは…?

⑰2001年宇宙の旅(スタンリー・キューブリック)

言わずと知れたキューブリック監督の映画史に残る名作。

上に紹介したスピルバーグ監督の『A.I.』にも繋がるSF界で重要な立ち位置を占める作品です。

猿が文明に目覚める過程をじっくり描いた最初のシーン、HALの暴走、最後のスターチャイルド。解釈が難しく神話を感じさせるスケールの展開が続きますが、皆さんはどう解釈しますか?

⑱her 世界で一つの彼女(スパイク・ジョーンズ)

SiriのようなコンピュータのサポートA.I.に恋する男の話。

『A.I.』『2001年宇宙の旅』とテクノロジー関連の映画が続きますが、これらの映画が問う疑問はこれからの社会でますます現実化していくからこそ、考える価値があると思います。

すでに人間の異性よりも2次元のアニメキャラクターに夢中な人も多いですし、それが人工知能によってアドリブで人間のような会話ができるようになる日も近いでしょう。ヴァーチャルリアリティがこれから一般化してくると、仮想現実でのアバターをもう一つのパーソナリティとして所有し、その中で仕事や恋愛が出来るようになる可能性もあります。

変化に身を任せてその中で利を得るのか、普遍的な価値観や美徳があると信じるのか、僕たひとりひとりが判断を迫られています。

⑲エレファント・マン(デヴィッド・リンチ)

ひどい奇形をもって生まれた男の実話。彼は風貌とその経緯からエレファントマンと呼ばれました。

この映画は「善」とは何か、「優しさ」とは何かを僕たちが自分自身に問うような設計につくられています。物語の序盤では姿が隠されているエレファントマン、その非人間的ともいえる姿を見てみたいと思う僕たち観客。打って変わって後半ではエレファントマンの「人間味」に話がフォーカスされ、カメラに映るのはそれを見たいという好奇の目を向けるモブ。

この構図だけでも素晴らしいのに、エレファントマンに同情する人や、彼を利用しようとする人に思惑が交錯し、彼を悩ませます。

最初から最後まで徹底して、監督の問おうとしている問題が何か、ヒシヒシと伝わってくる名作です。

⑳ブラインドネス(フェルナンド・メイレレス)

突然世界中で失明を引き起こす伝染病が蔓延します。しかし、これはいわゆるパニック映画とかスリラー映画ではありません。ただ秩序や人間性の崩壊というものが淡々と描かれます。

敵がいるわけでも、それに立ち向かうヒーローがいるわけでもない。この映画の主人公は「目撃者」。主人公だけは何故か目が見えなくなりません。その概念的な孤独の中で、彼女は人間の社会性や理性が壊れているさまを見つめます。

上記の『シティ・オブ・ゴッド』を撮ったフェルナンド・メイレレス監督が、人間の脆弱性や盲目性について問う寓話的な作品。あなたはどのように解釈しますか?

まとめ

僕が今まで見た映画は700本ほどで、やはり絶対数的に洋画のほうが多いですが、選り好みせず洋画・邦画・アニメ・ドキュメンタリー・B級なども観てきました。

しかし、選んでみるとやはり有名な作品が多くなってしまいましたね。ここの挙げた作品ついては僕自身かなり考えました。答えは観る人が個々人で見つけるものだと思いますので、何が正しく何が間違っているということはないと思います。

この手の映画は、観ている時間よりも下手をすると見終わってからの考えている時間のほうが楽しいくらいかも知れません。解釈に幅があったり、映画の問う疑問やメッセージへの意見が人によって割れることも多いと思います。家族や友達と一緒に観た後にあれこれと話すのも、語りがいがあり楽しいでしょう。

それでは、このリストがみなさんの休日が充実したものになる助けになることを祈って、この辺でペンを置こうと思います。

読んでくれてありがとうございました。

ABOUT ME
ささ
25歳。 副業で家庭教師をやっているので教材代わりのまとめや、世界50か国以上旅をしてきて感じたこと・伝えるべきだと思ったこと、ただの持論(空論)、本や映画や音楽の感想記録、自作の詩や小説の公開など。 言葉は無力で強力であることを常に痛感し、それでも言葉を吐いて生きている。 ときどき記事を読んでTwitterから連絡をくれる方がいることをとても嬉しく思っています。何かあればお気軽に。