ディランde英文法

【ディランde英文法】To 不定詞の結果用法【Tangled Up in Blue】

To 不定詞にはた~くさんの用法があります。

まず、大きく分けて名詞用法・形容詞用法・副詞用法の3つ。

そして副詞用法のなかに今回取り上げる「結果」を表す to があります。

僕が英語を教えるときは、to 不定詞の副詞用法は以下の5つをまず覚えるように言います。

①目的
②感情の原因
③判断の根拠
④条件

⑤結果

この中で「結果」の用法はわりと影が薄く、使われる文章のパターンも結構限られています。

だからこそ忘れられがち。

そんなことを思いながらブルーに絡まっていたら、ちゃんとディランの曲でも結果のtoが使われていましたよ。

「英語なんて、文法なんて意味がない!」というみんな。

僕はディランを聴いているとき、英文法知ってて良かったと思いましたよ。
ちゃんと役に立ちましたよ。

「Tangled Up in Blue」におけるTo 不定詞の結果用法

「Tangled Up in Blue」で to 不定詞の結果用法が使われているのは以下の部分。

She was married when we first met soon to be divorced

「初めて会った時、彼女は結婚していたが、すぐに離婚した。(離婚することになっていた)」

といった訳です。

6分以上にわたって、男の青年期が語られるこの曲。

話の軸はある女性との関係です。

その女性との出会いについて歌った行がここ。

このあと彼女と旅し、別れ、再会し、、、と話は続く。

ちなみになぜこれが結果のtoと分かるかと言うと、、、
思考の流れはこんな感じ

ささ

①主節の「was married」もWhen節の「met」も文型が完成しているなあ。(to be divorcedは名詞用法ではないなあ。)

→②to be divorceの前に修飾できそうな名詞がないから形容詞用法でもない。じゃあ副詞用法で確定だなあ。

→③感情も判断も文の内容にないし、条件だとしても結論がないなあ。目的で考えてみよう。

→④離婚するために結婚していた?離婚するために最初に会った?目的だとおかしいぞ。じゃあ結果か。

→⑤最初出会った時結婚してたけど、結果としてすぐに離婚した。あ、これだ!

まあ、慣れるまではこんな感じでひとつずつ考えてみてください。

こんなこと考えてたら一生読めるようにならない?だって?

いや、このプロセスが高速化されて0.1秒でできるようになりますから、安心して反復してください。

語学の最短習得は、正しく知識を覚えたら、それを飽くことなくひたすら反復練習することに尽きます。

To 不定詞の結果用法についての文法的な話

To 不定詞の結果用法 の文法的なポイントと余談をまとめておきます。

  • 以下のように、To 不定詞の結果用法の目印になりうる表現がある。(なんとなく自動詞と相性が良いような。)
    ・grow ~ to V 「成長してVする」
    ・wake up ~ to find「起きたら~と気づく」
    ・SV, only to V 「Vするだけだった」
    ・SV, never to V 「結果Vしなかった」

  • toの用法の中でもかなりマイナーなほう。
  • soon to Vで「まもなくVする予定」みたいに固まりで覚えるのもアリかもしれない。

その他、歌詞の中の英語について

I seen a lot of women

これなに!?

まあ、haveが省略されているのだけど、これってあまり他ではみないですよね。

別にそう歌ってなくでも歌詞カードでは have つけて書いておけばいいのにとも思うけれど。

もしかしてこれもインフォーマルは表現として一般的に流通してる地域やコミュニティがあったりします?

In the spotlight so clear

so clear 後置修飾で spotlight にかかっています。

以外に参考書の英文法だと盲点ですが、たとえ1語の形容詞でも、限定的ではなく叙述的に名詞にかかるときは、前置修飾ではなく後置修飾になることは結構あります。

an Italian Poet from the thirteenth century

誰のことでしょうか?

真っ先に浮かんだのはダンテですが、代表作の『神曲』を書いたのは14世紀になってからみたいなのです。

正直『神曲』の内容をよく知らないので、この曲で暗に引用されるに足る関係性が見出せるのかもわからぬ。

The only thing I knew how to do was to keep on

「僕がやり方を知っていたのは、ただ続けるということだけだった。」

連鎖関係代名詞です。

The only thing was to keep on.
+

I knew how to do it.

で出来ている文で、The only thing = it って感じ。

最後に曲を褒める

神曲、ここに極まれり。
(ダンテの話じゃないよ。「しんきょく」じゃなくて「かみきょく」だよ。)

「Tangled Up in Blue~♪」のBlueと、次はどんな韻を踏むんだ?というのが楽しい曲でもあります。

  • gettin’ through ~
  • on the avenue ~
  • and I just grew ~
  • the laces of my shoe ~
  • from me to you ~
  • like a bird that flew ~
  • a different point of view ~

Tangled up in blue ~ !

という感じ。

この文字列を見ただけで曲の中の名場面が目に浮かびます。。。

僕が一番好きなのは、彼女と再会したときに、彼女が主人公の靴ひもを結ぶために前かがみになるシーン・・・!

歌詞のなかで主人公自身も「あのときはソワソワしてしまったと、認めざるを得ないぜ」とおっしゃっています。

なんともドキドキするシーン。

そしてこれまで分詞構文の付帯状況的に使われて
「ブルーに絡まって」と抽象的に歌われていたタイトルの tangled up in blue ですが、この靴ひもシーンは明確に異なります。

だって明らかに形容詞として the laces of my shoe を修飾していてね、

When she bent down to tie the laces of my shoe
Tangled up in blue

「彼女は僕の靴紐を結ぼうと前かがみになった。ブルーに絡まった靴ひもを。」

ってなっているんですよ!!たまらんっ!ですよ!!

いやあ、これは本当に文学です。文学です。


あとはカフェのシーンの描写も格好よくて好き。

There was music in the cafes at night
And revolution in the air

かっこよすぎます。

あとコックさんの仕事辞めるシーンの表現も渋いです。

Working as a cook for a spell
But I never did like it all that much
And one day the ax just fell

歌詞にうるさい知り合いが
【「泣いた」じゃなくせめて「涙が頬を伝った」くらいに表現してほしい】
と言っていましたが、ディランはそんなもんじゃありません。

「ある日アックスが落っこちた」だけです!
これだけの脳内映像が動き出し、1行とは思えないほどの広がりを与えてくれます。

あとは締めのコチラ。

We always did feel the same
We just saw it from a different point view

ああ、ああ。

ちょっとスピッツ『楓』からこちらの一節と比較してみましょうよ。

かわるがわるのぞいた穴から何を見てたかなぁ?
一人きりじゃ叶えられない夢もあったけれど

かたや同じ気持ちでいても違う角度から違うものをみてしまい、

かたや同じ穴、つまり同じ角度から見ていても同じをものを見ていたという確認は持てない。

人間とは、関係とは。

そういえばこの間、結構刺さった「関係」についての一節があったのでついでに。
ZAZEN BOYS『半透明少女関係』です。

関係ない 関係ない

俺とお前は関係ない

それでも繋がる 関係

どういう読み方もできますが、いずれにしても儚く、それでも関係しようとする人間の先天的な孤独を感じます。

逆に、なお関係しようとする姿勢が熱い気もしますが。

Individual 「分けることができない」=「個人」とはよく言ったものです。

人間は男女でひとりだったものが罰として神に分裂させられ、僕たちはその片割れを探しているという神話があります。

そしてその片割れを探す感情が「愛」だと。

そういう創作をつくる昔のひとの気持ちもなんとなくわかる気がします。

おっと、ディランを愛でていたら話が飛んでいました。

まあここまで思考を滑らせてくれるくらいに、僕たちの心を押す力を持った深みのある歌詞だということで!

僕が持っているディランの詩集↓
部屋にあるだけでテンションが上がります。

ABOUT ME
ささ
25歳。 副業で家庭教師をやっているので教材代わりのまとめや、世界50か国以上旅をしてきて感じたこと・伝えるべきだと思ったこと、ただの持論(空論)、本や映画や音楽の感想記録、自作の詩や小説の公開など。 言葉は無力で強力であることを常に痛感し、それでも言葉を吐いて生きている。 ときどき記事を読んでTwitterから連絡をくれる方がいることをとても嬉しく思っています。何かあればお気軽に。