限界効用逓減の法則は、経済学の用語です。
ひとことでいえば
「1単位あたりの財を得ることによって人間が感じる主観的な幸福は、財の保有量が多ければ多いほど少なくなる」
ということです。いまいちよくわからないのでまずは言葉の意味から入りましょう。
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限界効用逓減の法則の意味
「法則」はわかるとして、問題は「限界」「効用」「逓減」。この3語です。
限界
ここでいう限界は、「もうダメ、限界!」という感じの限界ではありません。
財1単位のことです。
車なら1台、アイスならひとつ(ひとくちか?)。不倫相手ならひとりです(おい)。
効用
経済学における「効用」は、モノやサービスを消費するときに消費者や主観的に感じる満足度です。
車が大好きな人が自家用車を買うのと、車に興味がないどころか自動車産業に反対している環境保護活動家が自家用車を買わされるのとでは、前者の効用のほうがぜーんぜん高いってことです。
逓減
「ていげん」と読みます。段々と減ることです。
「低減」は単純に減ること一般に使うのでちょっと意味が違うらしいです。
3つ合わせて「限界効用逓減」
つまり
人生で初めて買った自動車は半端なくテンション上がったけど、金持ちになってガレージに4台保有するイケイケビジネスマンになった今、新車を買うのは嬉しいけど最初の1台を手にしたときのあの胸を突き上げるような高揚感はいつのまにか忘れちまったぜベイベ…
な感じです。
初めての自分のノート、初めてついた学校のエアコン、初めての大トロ、初めて買ったCD、初めての恋、初めてのパソコン、初めてのスーツ、初めての車…
なんでも初めては特別ですが、限界効用逓減の法則によれば初めてだけが特別なわけではなく、以降数を重ねるごとにどんどん特別感や満足感は減っていくようになっているということです。
金や財産を集めても…
定義がわかったところで、もう一歩先まで考えてみます。(定義が知りたかった人という方はここまでよん。)
限界効用逓減の法則は、科学的に証明されたものではないそうです。
しかし価値も時間も相対的に認識し、希少性の価値に翻弄される僕たち人間です。
やっぱり限界効用逓減の法則が言っていることには確かに説得力がありますよね。
これを買えば幸せになれる、もっとお金があれば幸せになれる。
そう信じて生きても、嬉しいのは達成したほんの一瞬だけ。その生活に慣れればまた同じような空虚感に包まれます。
実際に、物質的・経済的な満足度が向上しても、幸福度にはさほど影響がないとするデータもあります。
(もちろん極度の貧困などの場合には強い相関性があります。また、長期的な不況の場合など負の方向への相関もあります。)
人生で初めて手にしたボーナス50万円はとてつもなく嬉しくても、月収1000万を超える実業家にとっての50万は小指で扱う額になってしまいます。効用ダダ下がり。
となると、お金はあるに越したことはないですが、お金をただ貯めて置いたり、すでに持っているものや別にいらないものを買うのに費やしたりするのはなんだか幸福の効率が悪い気がします。
効用を下げないような生き方をするにはどうしたらよいのでしょう。
時間、モノ、お金、サービス。
どのようにこれらを消費するなら、効用は最大化されるのでしょう。
新しい体験を重ねよう
僕の意見ですが、効用を最大に保つ方法は「新しい体験を重ねる」ことだと思います。
同じものを多く持つほどに限界効用が逓減するのならば、全く自分が知らない体験に費やせばいい。
すれば所有していないもの、体験していないものの初めての消費になり、限界効用逓減の余地はありません。
大きく「物質的な満足」という括りにある限界効用逓減の網に絡み取られるのも避けたいので、お金や時間を費やすべきは「モノ」にではなく「体験」にです。
もちろんいつも新しいことをするのが無理でも、今までやってきたことを新しいステップに進めてみたり、新しいやり方でやってみたりすればいいと思うのです。
また、頻繁に新しい体験に踏み出すと自然と他の人との関りも増えると思います。最近ではネットであらゆる趣味や仕事のコミュニティができていて、質問などもしやすいですし。
限界効用逓減の法則からは多少議論が飛躍しているのですが、そもそも満足度や幸福を語る法則なのであれば、このような思索に使われてしかるべし。
また、持てば持つほど限界効用が逓減するというなれば、「あまりたくさん持たない」という考え方もあります。
ミニマリズムというのが自然と生まれてきたのは、僕たち現代人が限界効用逓減の法則みたいなものを肌感覚で感じているからだと思います。
つまり、「あまり持たずに、いろいろやろう!」ってことですね。
幸せへの一歩一歩は!
読んでくれてありがとうございました。