ディランde英文法

【ディランde英文法】Whetherの副詞節【It Ain’t Me Babe】

ディランの初期の名曲『It Ain’t Me Babe』をとりげます。

歌詞のニッチな部分ですが、Whether節でも確認してみましょう。

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「It Ain’t Me Babe」におけるWhetherの副詞節

You say you’re lookin’ for someone never weak but always strong

To protect you an’ defend you whether you are right or wrong

さて。

そのあとの protect と defend の目的語もともに you です。

ということで文型には Whrther節 が入る余地はない。

これで whether you are right or wrong は副詞節で確定だ。

Whether副詞節の訳は「~だろうと」。

Whether節にはよく or が入っていて「~だろうと・・・だろうと」ってなることが多いですね。

今回も right or wrong が入っているので「正しかろうと間違っていようと」です。

ここでは 正しい/間違っている のは you ですが

主語が明らかな場合には漠然と whether right or wrong のようにSVが省略されることもあります。

Whether節についての文法的な話

Whether節の文法的なポイントと余談をまとめておきます。

  • Whetherは従属接続詞で、完全文(文の要素がすべてそろっている文)を導く。


  • Whetherは名詞節か副詞節をつくる
    ・名詞節:「SVかどうか」
    ・副詞節:「SVだろうと(なかろうと)」


  • 名詞節と副詞節の判別方法は、主節の文の要素がWhether節なしでそろっているかどうか。
    →そろっていない場合はWhether節が名詞節になるしかないからね。


  • Ifの名詞節「SVかどうか」との違いは主語になれるかどうか。
    Ifの名詞節は主語になれないが、
    Whetherの名詞節は主語にもなれる!!


  • or notを付ける場合は「Whether SV or not」の語順が普通だが、
    「Whether or not SV」の語順も可。割と見る。
    ちなみに or not が付いてくる用法も If にない。


  • 「天気」のウェザーはweatherなので気を付けよう。

こうして書き出してみると地味に話題が多い接続詞ですね。

その他、歌詞の中の英語について

ain’t

ディランの歌詞ではお馴染み。

俗語で「be + not」「have + not」あたりを表します。

the one

よく「運命の人」的なニュアンスでも使われる。(スピッツじゃないよ。)

ハリー・ポッターとかルーク・スカイウォーカーみたいな選ばれし者も the one 感がある。

ただの the と代名詞の one で出来ていることももちろん多いですが、このように特別感を持って使われることも多い表現です。

I’m not the one for you. You are the one.

よく聞くやつ。

I will only let you down

失望させる。

let のSVOCです

ビートルズの場合は『Don’t let me down』(曲名。念のため。)

最後に曲を褒める

「おれは君が求めるような男じゃないんだから、さあ出ていきなさい。」

と、曲の内容はこれだけです。(メロディがスルメなのは言うまでもない。)

ただこの曲、ちょっと穿った見方をし過ぎかもですが、ただのラブソング(失恋ソング?)とはちょっと違った歌詞ににも聴こえてくるんですよね。

You say you’re lookin’ for someone never weak but always strong
To protect you an’ defend you whether you are right or wrong

「君は言うよね、弱い姿などみせない、いつも強い誰かを探しているって。
君が正しかろうが間違いいようが、君を守ってくれる誰かを。」

ふむふむ。

You say you’re lookin’ for someone who will promise never to part
Someone to close his eyes
Someone to close his heart
Someone who will die for you an’ more

「君は言うよね、離れたりしないと約束してくれる誰かを探しているって。
君のために瞳を閉じ、心を閉じ、死んでくれる誰かを。」

ほうほう。

But it ain’t me babe
No, no, no, it ain’t me babe
It ain’t me you’re lookin’ for, babe

「でもそれはおれじゃない。
違うんだ、おれじゃないんだ。君が探しているのは。」

うーん。

まあまあ、以下の略年を見給えよ。

『Blowin’ in the Wind』1962年

英語Wikipediaによると『Masters of War』が書かれたのが1962-63の冬

そして『It Ain’t Me Babe』が書かれたのが1964年

可能性としてはなくない読みではないでしょうか?

この曲のYouは国や権力を表し、

この曲の Me は良くない方向に進みつつあるそれらに抵抗する市民を表すというのは。

まあ、なんでもかんでもディランのアイコニックなイメージであるプロテストソングに結びつけるのは良くないし、ディランが臨むところでもないのは知りつつも。

こういう解釈をしてみるのも楽しいです。

ジョーン・バエズとディランが一緒に歌っているこちらの映像がお気に入り。
(この記事のアイキャッチ画像のディランも、実はバエズと一緒に写っているものの切り抜き。)

1964年のライブだからまだ新曲の時期。

ここまで歌い継がれると、みんな思っていたのかなあ。

この時期にディランとバエズの関係はよく知らなりませんが、とりあえず仲良さそうだし、ディランが楽しそうなのでニヤニヤしながら見てしまうヤツ

ではこのへんで。

実にお世話になっているディランの詩集。↓

ABOUT ME
ささ
25歳。 副業で家庭教師をやっているので教材代わりのまとめや、世界50か国以上旅をしてきて感じたこと・伝えるべきだと思ったこと、ただの持論(空論)、本や映画や音楽の感想記録、自作の詩や小説の公開など。 言葉は無力で強力であることを常に痛感し、それでも言葉を吐いて生きている。 ときどき記事を読んでTwitterから連絡をくれる方がいることをとても嬉しく思っています。何かあればお気軽に。