言葉・言語一般

【言語学】言語学ってなに??履修科目を決める前に確認してください!

高校までは国数英理社や古典、物理、スピーキングなど主要5科を分野ごとに学ぶという形でしか授業が組まれていませんが

大学に入ると、学べる学問の幅が一気に広がります。

法学は法律を、経済学は経済を、天文学は天文を、とある程度名前から授業内容が想像できるものはよいですが、中には何をするのかよくわからないぞ?という授業も多いですよね。

今回はそのなかでも誤解されがちな学問である「言語学」について書きたいと思います。

ポイントは言語学は「ある言語の運用能力を身に着けるための学問ではない」ということです。

言語学やってたよ~、と言うと良く「じゃあ英語話せるんだ!!」と返されるのですが、決してそういうわけではないです(笑)

(ちなみに僕は英語喋れますが、それはまた言語学とは別の理由です!)

では言語自体を学ぶわけではないのに「言語学」・・・それが一体どういう学問なのか、

簡単に紹介しますね。

そもそも言語とは??

言語学を説明する前にまずは「言語とは何か?」を考える必要があります。

言語って何でしょう??

・・・

大抵は「日本語とか英語とか・・・話したり書いたりしてコミュニケーションをとるもの?」

みたいな答えが返ってきます。

はい、ほとんどあってます!(笑)

が、言語学という学問が「言語」というときに想定している言語の幅は僕たちが直感的に思い浮かべるよりもずっと広いです。

【言語とは・・・】

話したり書いたりして人間がコミュニケーションをとる方法。

構成的、伝統的な形で語を使うことにより成り立つ。

言語は3種類に大別され、それは

  • 自然言語(Natural language)
  • 人工言語(Aritificial language)
  • 架空言語(Fictional language)

である。

自然言語は、誰が使い始めたか起源が定かでないような、人々が自然に生活のなかで使用する言語。

日本語や英語、中国語など僕たちが言語と言われてまず想像する言語たちは十中八九自然言語でしょう。

人工言語は、 ある特定に目的のために意図して人間により開発された言語。

ヨーロッパ共通語として造られたエスペラント語は人工言語の代表格。流ちょうに話せる人口もそれなりにいるので、自然言語に代わる人工言語としては異例の驚異的な発展と浸透を遂げたといえるでしょう。

Java ScriptやBASICなどのプログラミング言語や点字も手話なども、人工言語です。

架空言語は、フィクションの世界で使用され、実用されてはいない言語のこと。何か実用的な目的があるわけではありませんが、人が造ったという点では人工言語の一部ともいえます。

『指輪物語』のシンダール語やエルフの言語として親しまれているElvishなどが代表例。

このように、言語学というとき「言語」という言葉の幅はとても広いです。

「また英語の勉強か!」と思うと嫌な気がしますが、「自分の好きな物語に出てくる呪文はどこから引用されたものなのか?」という疑問を追求するのも立派な言語学です!

それでは言語学とは??

さて、言語にもいろいろあるんだとうことがわかったところで、最初に疑問に戻ります。

それでは言語学とは・・・?

【言語学とは・・・】

言語を“科学的”に研究すること。

はい、シンプル。キーワードは「科学」。

科学的というのは、客観的事実を証明するということです。

なんてとこはありません。言語に関わっていてそれが科学的な見地に立って行われる探究であればなんだって言語学です。

その証拠に、言語学がいかにたくさんの分野に分かれているか見てみましょう。

種々雑多な言語学の分野

基本的な言語自体についての分野

何を基礎分野として何を応用分野とするか、明確なラインを引くことは出来ませんが、ここでは言語そのものや言語を構成する要素を切り抜いて個別に研究する分野を簡単に紹介することにします。

この基本分野についてはすべて大学で基礎レベルの講義を受けましたが、異なるアプローチをとるものの、言語という最も身近なツールに新たな光をかざしてくれる、楽しい学問でした。

意味論(semantics)

単語や文章の意味についての研究。後で紹介する統語論と対をなす分野。チョムスキーという大言語学者が示した

Colorless green ideas sleep furiously.(無職の緑色の考えが猛烈に眠る。)という文章は、文法(統語論)的には間違いがない文章ですが、意味論という見方からすると全くナンセンスな文になるという話は有名・

チョムスキーの論旨は、これほど意味不明な文でも人間はこれを文法的に理解できる、ということだったようですが。

音声学(phonetics)

言語に限らず音楽や楽器の音ともかかわる”音声”についての分野。ちょっと理系っぽいアプローチです。

音韻論(phonology)

音声学をもっと言語に特化させたものが音韻論と考えてよいでしょう。単語を音節に分解し、音節を音素に分解して言語を音として研究します。

IPAという国際音声記号があり、同じ英語でもイギリス英語やニュージーランド英語など、方言によって全然違うIPA表記になる単語も多くて面白い。

統語論(syntax)

意味論と対をなす言語学の代表的分野。文法です。

よく「文法なんて意味がない」という意見がありますが、そういうことはまず統語論をある程度学んでから言うべきです。これこそが意味のない文法研究です!笑(言語習得に関しては!ね。自動翻訳機能の発展などには大変役に立っている分野です。

これをやると学校で習う英文法がいかに実用的にまとめられているかわかります。統語論は文法を俯瞰し、文法を疑い、文法のなかに法則を見つける学問です。

形態論(morphology)

単語についての分野。

「”大小”は対立概念をくっつけてできた語」「”奏者”は動詞とその主語をくっつけてできた語」「”白雲”は形容詞と修飾される名詞がくっついてできた語」

とか、こんなのを学校で習った覚えはありませんか?こういうのを突き詰めるのが形態論です。

英単語を覚えるときに、語幹や接頭辞、接尾辞、派生語などの知識を駆使して、楽に英単語を覚えようと工夫した人も多いと思いますが、あれは形態論の知識を使った工夫ですね。

記号学(semiology)

記号学は近代言語学の祖といわれるソシュールという人の影響で成立した分野。言葉の内容をシニフィエ、言葉の表現をシニフィアンと分けて、記号としての言語を研究します。

「馬」という文字や「uma」という音は記号、即ちシニフィエで、

それを見聞きしたときに僕たちの頭に浮かぶ4本足で足の速いあの生き物が、シニフィアンです。そんな感じ。

語用論(pragmatics)

「危ない!」と言われたら、その心は「車が来てるから避けて!」とか「メッシがシュート打つぞ、止めろー!」とかですよね。

電話で「Aさんいますか?」に「いますよ」とか「いませんよ」と答えるアホはいませんね?

ここでいう「Aさんいますか?」「Aさんと話したいんですが、変わってくれますか?」という意味です。

こういうのが語用論が向き合う疑問になります。

また、裁判で「被告を有罪とする」と裁判長が言ったら、これは単なる発言ではなく、実際の判決という機能的効力を持った発話ですよね。こういった事象を「発話行為」と呼んで研究したりもします。

各言語の研究

上記のような基本分野を、ある特定の言語に絞って行うことです。英語学、日本語学、インドネシア語学など。

他分野との組み合わせや発展的な研究

言語というのは人間の生活において、大変基本的な要素ですので、他分野とのオーバーラップも多いです。

社会言語学(sociolinguistics)

社会×言語。社会階級(古い言葉・・・)や職業によって僕たちの言葉遣いは変わりますよね。また、職場での自分と、配偶者や恋人との自分、友達との自分、子どもとの自分、それぞれ話し方は微妙に変わりますよね。

「~だぜ、~だわ」など喋り方には性差や、実際とは異なる性や階級のイメージと結びついたものも多いです。(「~ですわよ、オッホッホ」などという金持ちの女性は実際にはデヴィ夫人しかいない。

近年だと、ポリティカルコレクトネスという考え方が浸透し、「看護婦」が「看護師」という表現に改められました。

こういった例もすべて社会言語学の研究対象になります。この領域はめっちゃ面白いです。

方言学(dialectology)

出身地によって方言と標準語の使い分けいが異なるという研究があります。例えば、関西の人は誰と話すときでも関西弁の人が多いが、甲信越の人は地元で話すときだけ方言でそれ以外の人とは標準語など。

また、日本でいう方言は地域性と結びついていますが、イギリスでは社会階級と結びついた方言もあります。方言の研究も奥が深いです。

僕は大学で、ネット上で発生した猛虎弁の研究をしましたよ・・・(笑)

心理言語学(psycholinguistics)

心理×言語

とはいって単純に心理学との融合に留まらず、人間には生得的な言語獲得装置が備わっていると論じてみたり、チンパンジーに言語を教え込んでみたり(なんと聴解に関しては成功しています)、脳科学と交わって言語障害についてブローカ野やウェルニッケ野などの機能不全部位によって障害の違いを調べてみたりと、忙しい分野。

比較言語学(comparative linguistics)

後述の言語類型論と重なる部分もありますが、2つ以上の言語を比較研究する分野です。

スマートフォンやインターネットという語が英語から日本語に流入するような、語彙単位の言語同士のかかわりよく見られますが、

実は文法や音、文字の伝播もかなり奥が深いです。日本語は他の言語と共通の言語的祖先をもたないとされる孤立語ですので、他の言語を客観的に見やすい立場にあるかもしれません。

一般言語学(general linguistics)

基礎言語学といってもよいのかもしれませんが、個別の言語に関わらず、すべての言語で言える一般法則について研究する分野。

前述の「シニフィエ」「シニフィアン」という概念はどの言語についても当てはまるものですし、「犬」という言葉で表されるあのワンワン可愛い生き物を表す語彙は、どの言語においても「名詞」というのは共通だと思います。

神経言語学(neurolinguistics)

前述の心理言語学と密なかかわりをもつ分野で、吃音やディスレクシア(失読症)なども含めた言語障害について新たな発見をして治療に寄与したり、脳科学の知識から言語にアプローチする領域です。

これだけは心理言語学で少し触れた以外では大学で一切学んでいないのでなんともいえません・・・。

構造言語学(structural linguistics)

言語をひとつの記号体系として、その根幹をなしている構造があるという立場から、それを明らかにしようという分野。

先ほどから名前が出ているソシュールが基礎を作り、チョムスキーなどに受け継がれています。

言語類型論(linguistic typology)

あらゆる言語を比較して類型化していく学問です。世界の言語が、その由来によって、インド=ヨーロッパ語族、アルタイ語族、シナ=チベット語族などに分類されるのはよく知られていますが、

文の語順着目して、SVO型、SOV型、VSO型などの分類や

文章中の単語の役割決定の仕方によって膠着語(助詞や接辞により役割が決定)、屈折語(格活用により決定)、孤立語(語順により決定)などに分ける類型法もあります。

まとめ

正直なんの役に立つんだと問われると答えに窮する言語学ではありますが、

どんな学問で、どんな研究分野があるのかはわかっていただけたかと思います。

僕自身も言語学からは基礎レベルで身をひいた者ですのであまり細かいことは説明できないのですが

なんだかんだ語学習得の役にも立ってます。

ポイントをまとめておくので、興味が持てた方は是非、学んでみてください!面白いですよ!

言語とは、話したり書いたりして人間がコミュニケーションをとる方法のこと

★言語には、自然言語・人工言語・架空言語がある

言語学とは、 言語を“科学的”に研究し、客観的な事実を見つけること。

基礎言語学には、意味論や統語論など、言語の構成要素のひとつひとつを分けて研究する分野がある

応用言語学には、社会言語学や神経言語学や言語類型論など、他の学問と混合したり言語を包括的にみたりする分野が数多くある

語学習得を目指す学問ではないが、語学習得の役には立つ

ABOUT ME
ささ
25歳。 副業で家庭教師をやっているので教材代わりのまとめや、世界50か国以上旅をしてきて感じたこと・伝えるべきだと思ったこと、ただの持論(空論)、本や映画や音楽の感想記録、自作の詩や小説の公開など。 言葉は無力で強力であることを常に痛感し、それでも言葉を吐いて生きている。 ときどき記事を読んでTwitterから連絡をくれる方がいることをとても嬉しく思っています。何かあればお気軽に。