言葉・言語一般

撞着語法(オクシモロン)ってなに?例や効果もふくめて解説します

修辞技法のひとつである撞着語法についてまとめます。

Contents

撞着語法ってなに?

撞着語法というのは

相反する意味の2つの言葉を同じ文脈に入れ込むこと

です。

言葉の定義をみてみます。

どう‐ちゃく【×撞着
[名](スル)
1. つきあたること。ぶつかること。
2. つじつまが合わないこと。矛盾。「話の前後が撞着する」「自家撞着」

goo辞書より引用(https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%92%9E%E7%9D%80/#jn-156380)

類義語は「矛盾」ですね。

要するに
わざと表現を矛盾させる技法ということです。

撞着語法をつかった例

わかりやすように例をあげてみます。

倒置法や反復法と異なり
撞着語法は学校でも習わない聞きなれない語法ですが
意外と身の回りで使われていることも多いです。

撞着語法を使ったよくある表現

  • 無知の知
  • 小さな巨人
  • 急がば周れ
  • 負けるが勝ち
  • 優しい嘘
  • 生きた化石
  • 終わりの始まり
  • マイナス成長
  • 公然の秘密
  • 仮想現実
  • ワーキングホリデー
  • ワイヤレスケーブル
  • アメリカ英語
  • 自然農法

撞着語法を使ったタイトルや名前

  • サウンド・オブ・サイレント
  • バック・トゥ・ザ・フューチャー
  • 白いブラックサンダー
  • Radwimps
  • ナポリ風ジェノベーゼ

撞着語法を使った芸術表現

  • 音のない叫び
  • 雄弁な沈黙
  • 悲しい微笑み
  • 盲目の目撃者
  • 孤独な群衆
  • 臆病なライオン
  • 優しくあるために冷酷でなければならない

撞着語法を使った政治的表現

  • 冷戦
  • 正義の戦争
  • アダルトチルドレン
  • 公正な差別
  • 平和のための核兵器

撞着語法を使った日常表現

  • マジで面白い
  • クソ美味い
  • バカ真面目
  • ほとんど完璧
  • 死んでも生きろ

撞着語法を使ったジョーク

  • 半ライス大盛りで

英語の撞着語法

  • Definitely maybe
  • Living dead
  • Loyal opposition
  • Magic realism
  • Old news
  • Peaceful conquest
  • Wise fool
  • bad luck

撞着語法の効果は

わざと矛盾させるということは
撞着技法を使った表現は一見おかしなものになるということですよね。

いったい撞着技法にはどんな効果があるのでしょう。

こればかりは受け手の捉え方にもよるので一概にはいえませんが
一般的に考えられる効果は以下のようなものです。

上にあげた撞着語法の例がそれぞれどの効果を活かしたものか考えてみてくださいね~。

注意を引きつける

矛盾を含む撞着語法をみると人はいったん立ち止まって「ん?」となります。

商品名やタイトルに使うと人の注意を引けて効果的です。
また、スピーチなどで注意喚起をうながしたいときにも使えます。

疑問を抱かせる

一見矛盾しているような表現なのに、よく考えると的を射ているというのが撞着語法の真骨頂です。

人は自分で気が付いたことは頭に残ります。

撞着語法では、疑問を抱かせる表現を使うことで聴き手に想像力を使ってもらい、意味の伝達に主体的に参加してもらうことができます。

考えさせる

上と被りますが、単純に「どういう意味だ?」と考えさせるという効果もあります。

強い主張をする

撞着語法は強い印象を残す表現なのでキャッチコピーやメインの主張など、強調したい部分にも効果的に使われます。

情感を呼び起こす

芸術などに撞着語法を取り入れると、強い情感を呼び起こすことができます。

言葉の定義には限界があるので、その限られた言葉を組み合わせることで、言葉にならない気持ちや考えを表現するのが芸術が取り組む課題のひとつです。

あらゆる修辞技法の中でも、撞着語法は情感を伝えるために特に頻繁に使われるもののひとつです。

ユーモアを持たせる

矛盾した表現を使うことでユーモラスな表現をつくることができます。

強調という目的では、同じ言葉を繰り返す畳語法や、強調部分を文末に持ってくる倒置法なども使われますが、ユーモアを持たせることも撞着語法は幅広い効果を持っているといえます。

皮肉を言う

撞着語法は皮肉をいうときにも使えます。
「素晴らしい愚策ですね」などと言われた政治家先生の気持ちを想像してみてください。

まとめにかえて

この記事を書くきっかけになったのは

日食なつこというアーティストの『大停電』という曲が
全体を通して撞着的な構図で書かれているのに気がついたことでした。

大停電の真っ暗闇の中でかえってすべてが明らかになる

というアイデアで書かれた曲は、撞着技法のもつ疑問を持たせる効果、強い主張をする効果、考えさせる効果、情感を呼び起こす効果などを鮮やかに利用して印象的な作品になっています。

『大停電』についても記事にまとめているので是非読んでみてください。
そしてなにより日食なつこという天才的なアーティストに感動してください!

では、意外と身に周りに溢れている撞着語法について紹介しました。

読んでくれてありがとうございました。

ABOUT ME
ささ
25歳。 副業で家庭教師をやっているので教材代わりのまとめや、世界50か国以上旅をしてきて感じたこと・伝えるべきだと思ったこと、ただの持論(空論)、本や映画や音楽の感想記録、自作の詩や小説の公開など。 言葉は無力で強力であることを常に痛感し、それでも言葉を吐いて生きている。 ときどき記事を読んでTwitterから連絡をくれる方がいることをとても嬉しく思っています。何かあればお気軽に。