言葉・言語一般

朗報!「語学習得にアウトプットは必要ではない」という科学的事実

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はじめに

従来、語学習得では

インプット(リスニング)→アウトプット(スピーキング)

のプロセスが絶対必要と考えられ、その試行回数をこなす中で間違いを正すことで

人間は語学を習得していくと考えられていました。

国際化が進み、英語に限らず第二言語習得が一般的になっていた現在

より効果的な語学習得法や、言語習得における科学的事実をもとめ、科学者たちも研究を繰り返しており

言語習得の際に僕たちの脳内や認知で何が起きていているのか、日進月歩で解明されています。

そんな研究が明らかにしたのは

「外国語習得にアウトプットは必要ではない」という衝撃的な科学的事実。

僕たちの直感とは安全に相反するものです。

そこで、今回はこの事実について、

学生時代に読んだこちらの書籍に書かれていたことに従って簡単に説明したいと思います。

「外国語習得にアウトプットが必要ではない」??

語学習得の天才と言えば、子ども。

子どものうちに多言語に触れることで人間は複数の言語をネイティブレベルで扱えるようになるのは一般に知られているところ。

そこで第二言語習得論の研究者も、語学の天才である子どもを先生として

彼らがどのように語学を習得するのか研究しています。

あるとき研究者たちが注目した問題は

「語学習得の必要十分条件はなにか」です。

上にも書いた通り、一般には直感的に

インプット(リスニング)→アウトプット(スピーキング)

という流れは必要な条件に思えました。

しかし、研究者たちはこの一般的な仮説にはあまりにも反例が多いことに気が付き始めます。

例えば、

3歳を過ぎても言語能力に向上が見られないある少年がいました。彼の親は彼に言語能力や発達の面で障がいがあるのでは?と心配しました。

親や周囲の人間が発する言葉は理解している様子の彼は、単語レベルでは何を言うことはあっても、フレーズや文章を発することがなかったようです。

しかし、彼も4歳になったある日、母親と出かけているとき

「お母さん、今日の夕陽はとてもきれいだね」と、突然流ちょうに話し始めたというのです。

それから少年は、周りの子どもと同じようにおしゃべりをするようになり、言語能力の発達にも特に問題はなかったとか。

似たような例は何件も報告されているようで、第二言語習得論の研究者はある仮説を立てました。

「語学学習にアウトプットは必要ないのでは?」

語学習得における真の必要十分条件:リハーサル

「語学学習にアウトプットは必要ない」

この仮説を証明すべく研究者たちは子どもを主な対象として様々な実験を繰り返しました。

そうしてわかってきた、語学習得における真の必要十分条件は・・・

「インプット」 と 「アウトプットの必要性

だそうです。

なんともピンとこない言い回し・・・。しかしこれが真の必要十分条件とされているようです。

つまり

アウトプットすること自体よりも、アウトプットが必要な環境にいることが大切

ということでしょう。

アウトプットを想定すると、人間は脳内でその言語を話し始めます。

英語などを学んでいる人はわかると思いますが、英会話をするとき、実際の英語の発話をするよりも前に頭のなかで英語の文章を作って一度ながしてみたりしませんか?

また、周囲の会話のスピードが速いために口をはさむタイミングを逃していても、「ああ!今これを言いたかったのに!」と頭の中では何かを話していますよね。いうのが間に合わなかっただけで。

これを第二言語習得論では「リハーサル」といいます。

アウトプットの必要性は、このリハーサルを促進します。

そして研究によると、言語習得においてはアウトプットは必ずしも求められるものではなく、リハーサルで十分だというのです。

学習者ができる工夫

「実際の発話なしで正しい発音ができるか!」

「言葉はコミュニケーションのためにあるのに頭の中ではなしていても意味がない!」

そんな声も聞こえてきそうですが・・・。

あくまでこれは学問レベルの話です!

実際にはアウトプットを積極的にした方が良いに決まっています。

しかし、英語ならともかくその他の言語ではなおのこと、その言語で話してくれる人を見つけたり、定期的に時間をとったりするのは難しいもの。

そんなとき、「アウトプットできなくてもリハーサルするだけも効果がある」という知識は有用だと思います。

これは実際に僕もやっていることなのですが、歩いている時や電車の中、家事をやっているときなどに

頭の中で、身の回りで起きていることの状況説明を、学びたい言語でするのです。

There is two convenience stores. I prefer Seven-Eleven tho….It’s not colder today than yesterday, I should’ve left my jacket… oh I’ve just seen two girl passing there they were both so beautiful…

Estoy lleno mucho… No quiero comer mas ahora. Muy satisfecho. Necesito reir este libro pronto porque voy a visitar la biblioteca para regresarlo manana…

みたいな感じで。

これなら意識するだけでいつでもどこでもできます。

アウトプットを実際にしなくても、言語を流ちょうなまでに習得した子どもたちが実際にいるのです。

さすがに僕たちが外国語学習者としてそれを目指すのは無茶でしょうが、この方法ならリハーサルの時間を極めてたくさんとることできます。

語学学習では、ノートやパソコン、単語帳などを開く手間や、会話教室などの費用や予定調整、話すときの羞恥心などが障害となり、僕たちのやる気をそいでいきます。

しかしこの方法なら、簡単に意識だけで続けられます。

科学的にも語学習得に必須とされ、効果が証明されている方法ですので、

是非取り入れてみてください!

ひとりで歩いているときなどは、周りの人に不審に思われない程度にボソボソ話すのも良いかもしれません!

ABOUT ME
ささ
25歳。 副業で家庭教師をやっているので教材代わりのまとめや、世界50か国以上旅をしてきて感じたこと・伝えるべきだと思ったこと、ただの持論(空論)、本や映画や音楽の感想記録、自作の詩や小説の公開など。 言葉は無力で強力であることを常に痛感し、それでも言葉を吐いて生きている。 ときどき記事を読んでTwitterから連絡をくれる方がいることをとても嬉しく思っています。何かあればお気軽に。